春・夏は注意!食中毒の基礎知識

桜の開花も進み、お花見や運動会など、行楽が楽しい季節になってきました。ただ、気温が上がってくる春・夏は食中毒が起こりやすい季節でもあります。

レストランだけでなく、家庭での食事でも食中毒は起こります。厚生労働省の調査によると、家庭における食中毒発生件数は全体の約10%程度。

少ないようにも思えますが、症状が軽い、家族全員に症状が出ない場合は食中毒の報告がされていないケースも多々あるためとも言えます。今回は、料理を作る際に気を付けるべきポイントや注意点をまとめました。

食中毒の主な要因は「細菌」と「ウイルス」

腹痛や下痢、嘔吐などの症状が出やすい食中毒。主な要因は自然毒や化学物質、寄生虫などさまざまありますが、家庭で起こりやすいのは「細菌」と「ウイルス」と言われています。

気温や温度などの条件が揃うと食べものの中で増殖する「細菌」は、細菌の多くは室温の22℃ほどから、人間の体温36~38℃程度を好みます。さらに湿度を好むため、気温や湿度が高くなる6月の梅雨時期から8月の夏場が要注意時期です。例えば、カンピロバクター、サルモネラ菌やウェルシュ菌、O157といった腸管出血性大腸菌などが挙げられます。

一方で「ウイルス」は、低温で乾燥した環境が好み。ウイルスが付いた状態の食べものを食べると、体の腸管内で増殖していきます。こちらは冬場に大流行するノロウイルスが有名。牡蠣などの二枚貝にも多く生存しています。年間の食中毒発生患者のおよそ5割を占め、重症化するケースも多い食中毒です。ここからは、家庭で起こりやすい食中毒について解説していきましょう。

鶏肉に注意!近年発生件数が多い「カンピロバクター」

近年発生件数が多く、年間300件、2000人程度の患者数が記録されている「カンピロバクター」。およそ1週間程度の潜伏期間を経て、腹痛や下痢、嘔吐などの消化器症状が現れます。

主に、加熱が不十分である鶏肉が原因となる場合が多いです。また、触った手や調理器具の洗浄不足から引き起こすこともあります。これを防ぐには、十分な加熱で対策を取りましょう。「中心部を75℃以上で1分間以上加熱」が目安です。鶏肉を触ったあとは手や調理器具をよく洗い、二次感染も防ぐようにしましょう。

また、鶏肉や卵はサルモネラ菌にも注意が必要です。卵にもしっかり加熱を行い、生で食べる場合は新鮮なものに限りましょう。

加熱しても安心できない「ウェルシュ菌」

「食中毒対策は加熱すればOK」というわけではないんです。カレーや煮物、煮込み料理などは、前日などに鍋でたっぷり調理する方も多いのではないでしょうか。「ウェルシュ菌」はこうした鍋を室温で冷ましている間に増殖、お腹が張るような腹痛や下痢を引き起こします。

この細菌は熱に強いため、高温でも死滅せず芽胞が残るのが特徴です。さらに空気を嫌う種類のため、食品を加熱することで酸素のない状態になると、より好ましい状態になってしまいます。防止策としては、調理後に早めに食べる、小分けして冷蔵・冷凍するなどの方法があります。

冷蔵や冷凍を温め直しする際は、食品内に空気を行き渡らせるため、全体をよくかき混ぜながら加熱しましょう。

11月~2月に注意!「ノロウイルス」

年間食中毒患者のおよそ半数を占める「ノロウイルス」。年間を通して発生していますが、特に多いのは気温が低く、乾燥している11月~2月頃です。二枚貝などにウイルスが含まれていることが多く、生で食べたり加熱が不足していたりすると感染することがあります。

感染力が非常に強いものの有効なワクチンがないため、お子さんや高齢者など抵抗力の弱い方はより注意が必要です。対策としてはやはり十分な加熱。また、二次感染を防ぐための手洗いなどを徹底しましょう。

家庭でも発生しやすい食中毒。厚生労働省は食中毒予防の3原則として、細菌やウィルスを『付けない・増やさない・やっつける』を掲げています。

また、家庭でできる食中毒予防のポイントとして、食品の購入・家庭での保存・下準備・調理・食事・残った食品という6つに分け、予防対策を呼び掛けています。

https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/dl/point0709.pdf

せっかく作った美味しい料理。

確かな知識を身につけ、安心して楽しみたいものですね!

文:田窪 綾